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【説明しない勇気43】医師に選ばれるMRが密かに実践している「運を引き寄せる習慣」とは?厳しい現場で折れない心を作る技術

目標未達、医師の冷たい反応……消耗する日々に効く「心の処方箋」

製薬業界の最前線で働くMRやMSLの皆さん、そしてチームを支えるマネージャーの皆さん。日々、言葉では言い表せないほどのプレッシャーの中で戦っていることとお察しします。

 

「今月も目標数字まであと一歩が届かない……」

「とっておきのデータを説明したのに、先生からは『実臨床には合わない』と厳しく反論された」

「販売情報提供活動ガイドラインに違反していないか心配で、精神的に疲れ果ててしまった」

 

私自身、現役時代には何度もこうした状況に陥りました。医局の外で先生を待ちながら、ネガティブな思考が頭を支配し、足取りが重くなる。そんな時、周囲から「もっとポジティブに考えよう!」と励まされても、「それができれば苦労しないよ……」と、どこか冷めた気持ちになってしまったものです。

厳しい環境下で前向きさを保つことは、決して「気合」や「根性」の問題ではありません。実は、ポジティブ思考とは努力して絞り出すものではなく、ある「シンプルな習慣」によって自動的に作られるものなのです。

ポジティブな「脳」を作る、世界一簡単な心の筋トレ

ポジティブ思考を身につけるための一番簡単で、かつ強力な方法。それはテクニックとしての話法を磨くことよりも先に、「感謝の習慣」を持つことです。つまりポジティブ思考になるための一番簡単な方法は「ありがとう」と言うことです。

「ありがとう」という言葉の語源は「有り難し」。つまり「有ることが難しい=滅多にない、稀なこと」を指します。本来、私たちが「ありがとう」と口にするのは、目の前の出来事が「当然ではない」と気づいた瞬間です。

ここで、少し視点を変えてみましょう。「ありがとう」の反対語は何でしょうか? それは「有ることが難しくない」=「当たり前」です。

今日、健康な体で車を運転できていること(当たり前か、有り難いか?)

厳しいながらも、訪問を受け入れてくれる医師がいること(当然か、稀なことか?)

自分の提案を支えてくれる資材や学術文献があること(あって当然か、感謝すべきことか?)

これらを「当たり前」と捉えるか、「有り難い」と捉えるか。このわずかな解釈の差が、一日のパフォーマンスを劇的に変えます。感謝の言葉は、いわば「心の筋肉」です。意識的に使い続けることで、私たちの脳は物事のポジティブな側面に自動的に焦点を当てるようになり、前向きなエネルギーが湧いてくるようになります。

「運が良い」と口にする人が、なぜか成果を上げ続ける理由

私がこれまで医療の現場や様々な業界の人との交流で出会ってきた、多くの「一流」と呼ばれる医師やビジネスマンには、ある共通した口癖があります。それは、周囲が驚くような成果を上げた時ほど、「運が良かっただけですよ」と謙虚に感謝を口にすることです。

彼らは、自分の努力を過信するのではなく、周囲の協力や偶然の出会いに対して、素直に「有り難し」と感じています。一見すると単なる謙遜に聞こえますが、ここには重要な成功哲学の本質が隠されています。

感謝を口にする人、つまり「当たり前」と思わずに相手を尊重する人の周りには、自然と「この人を応援したい」という協力者が集まってきます。 先生との対話でも同じです。「会ってもらって当たり前」という態度で臨むMRと、「貴重な時間を割いていただき、本当に有り難い」と心から思っているMR。医師は、私たちの言葉の裏にある「心の状態」を敏感に察知します。後者のMRの方が、より深い本音を引き出し、チャンスを掴む確率が高いのは明白です。

「運」とは、天から降ってくるのを待つものではありません。日々の感謝と謙虚な気持ちを持って行動を積み重ねることで、自分にとって有利な状況が起こる「確率」を自ら変動させていくものなのです。

明日の訪問から変えられる、最強の「セルフ・スタンバイ」

ポジティブ思考は、才能ではありません。今日から始められる「習慣」です。 明日、先生の元へ向かう前に、車の中でほんの10秒だけ、今日まで「当たり前」だと思っていたことに「ありがとう」と呟いてみてください。

「今日も無事に訪問できる環境があって、有り難い」

「厳しい先生だけど、対話の機会があるのは有り難い」

この小さな心のセットアップが、あなたの表情を和らげ、声のトーンを明るくし、医師へのリスペクト(好意)として伝わります。それが結果として、詰まっていた交渉を動かすきっかけになるのです。

もし今、あなたが「どうしても前向きになれない」と悩んでいるなら、それはあなたが真面目に仕事と向き合い、格闘している証拠です。そんな時こそ、心の筋トレを始めてみませんか。

高い交渉スキルやディテーリングの技術も、この「ポジティブな状態」という土壌があって初めて花開きます。あなたが発するポジティブなエネルギーが、医師の心を動かし、ひいては多くの患者さんの笑顔に繋がる。その素晴らしい循環の始まりは、あなたの小さな「感謝」の一言にあるのです。

一人で抱え込まず、まずは自分の心を整えることから始めていきましょう。その先には、今までとは違う景色が必ず待っています。

プロフィール

杉浦敏夫(すぎうら・としお)

1965年、長野市生まれ。名古屋大学工学部合成化学科卒業後、国内の製薬会社に入社。

プロダクトマネージャーとして大型新薬の上市を手がけた後、学術部、プロダクトマーケティング部、臨床開発部、教育研修部の部長職、営業部門では東京支店長などを歴任する。

日本人を対象としたエビデンス構築の必要性に着目し、多くの臨床試験の企画・運営を主導。そのうち代表的な2つの研究の結果は、国際的に権威のある医学専門誌に掲載され、国内の診療ガイドラインにも引用されている。

数多くのトップ・オピニオン・リーダーとの対話を通じて「質問の力」の本質に触れ、営業力強化の分野で著名な「質問型営業®」開発者・青木毅氏に師事。

現在は、第一線で活躍する営業職やマネージャーを支援する取り組みに注力している。趣味はカメラ、ソフトボール、ゴルフ、温泉旅行。

人気PodCast番組『青木毅の質問型営業』に著者として出演(第540回, 2025年9月19日配信)。

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