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【説明しない勇気85】「スペックの説明」で終わっていませんか?医師から選ばれ続けるMRが密かに実践する「3C分析」を活用した戦略的ディテーリング

製品の「強み」をアピールするほど医師の心が離れていく不思議

製薬業界の最前線で日々のディテーリングや

情報提供に奔走しているMRやMSLの皆さん、

そしてチームの成果を最大化するために

日々現場を鼓舞しているマネージャーの皆さん。

 

医師との面談の中で、

このような壁にぶつかってはいないでしょうか。

 

 自社薬の特性を熱心に説明しているのに、

 医師の反応が良くない 

 

 熱い想いでトークを展開したつもりなのに、

 最後は『分かった、検討しておくよ』と

 流されてしまう 

 

 医師の本音が聞き出せず、

 何が処方の障壁になっているのかが

 分からない 



私自身、製薬会社の現場を長年経験し、

数多くのプロモーション活動を分析する中で、

同じように

「これほど素晴らしい薬なのに、なぜ響かないのか」

と悩むMRを本当にたくさん見てきました。

 

実は、このようにディテーリングが

空回りしてしまう最大の原因は、

製品の特長ばかりに目が向き、

目の前の医師を取り巻く

「市場の構図」

が見えなくなっていることにあります。



今回は、売り込み型の営業から脱却し、

医師から自然と選ばれる存在になるための

 

「3C分析」

 

を取り入れた交渉術について解説します。





製薬業界ならではの「3C」――顧客・競合・自社を再定義する

マーケティングの世界で

戦略立案の基本とされる「3C分析」。

 

「Customer(顧客)」

「Competitor(競合)」

「Company(自社)」

 

の頭文字を取ったものですが、

医薬品のマーケティングにおいて

このフレームワークを機能させるには、

一般消費者向けとは異なる

製薬業界独特の視点が必要です。

 

この3つのCを正しく解釈することから、

勝てる戦略の設計が始まります。

 

1. Customer(顧客):3層構造の向こう側を見据える

製薬業界における顧客とは、

単に目の前にいる

「医師」だけを指すものではありません。

 

  • 処方を決定する「医師」
  • 薬剤の採用や調剤を担う「薬剤師」
  • 実際に薬を服用する「患者」
  • 流通と価格に関わる「医薬品卸」

 

これらの利害関係者が

どのようなニーズを持っているのか。

それぞれの立場における関心事を

層別して把握することで、

誰に、何を、どのように届けるべきか

というターゲット設計が明確になります。

 

2. Competitor(競合):広い視野で真のライバルを定義する

競合とは、同じ効能・効果を持つ

他社の同種同効薬だけではありません。

 

  • 同種同効薬・クラス内の他製品
  • 診療ガイドライン上で推奨されている、別作用機序の治療薬
  • 費用対効果の観点で比較されるジェネリック医薬品(GE)
  • 非薬物療法(手術、医療デバイス、生活食事指導など)

 

このように競合の定義を広げることで、

医師が普段、自社製品の代わりに選んでいる

「真の選択肢(ライバル)」

の正体が見えてきます。

 

3. Company(自社):「彼を知り己を知る」自己分析

「彼を知り己を知らば百戦して危うからず」

という孫子の兵法の言葉通り、

他社製品のスペック分析は綿密に行うのに、

自社の強みの分析は意外と曖昧になりがちです。

自社の強みは、製品スペック(有効性・安全性)

だけにとどまりません。

 

  • 講演会やeコンテンツなどの情報提供力
  • 学術的ネットワークやセミナー・研究会の運営力
  • 地域密着型の迅速な情報提供体制や、疾患啓発・患者支援の取り組み

 

自社の有する経営資源(セールスフォース)や

学術サポート力を客観的に見つめ直すことで、

他社とは異なる「独自性」の活かし方が明らかになります。

 

 

 

3つの視点を掛け合わせ、質問型話法で「勝てる市場」を創り出す

では、この3C分析を

日々のコミュニケーションやトークスキルに

どう落とし込むべきでしょうか。

ポイントは、それぞれのCを「交差」させて、

そこに「戦うべき市場機会」を見出すことです。

 

  • 「顧客が望んでいるのに、競合が提供できていない価値は何か?」
  • 「競合と比較して、自社だけが実現できる体験は何か?」

 

これらの問いをあらかじめ立てておくことで、

一方的な説明ではなく、

医師の本音を鮮やかに引き出す

質問型交渉術が可能になります。





「製品をどう売るか」を捨て、「誰に何を届けるか」で差をつける

結局のところ、優れたマーケティング思考を

日々の営業活動に落とし込むということは、

製品を一方的に売り込む「情報伝達者」から、

医師の抱える臨床課題を共に解決する

「価値創出の担い手」へと、

自身の役割を進化させることに他なりません。

 

  1. 3C分析を使い、顧客(医師・薬剤師・患者)、競合、自社の定義を大きくアップデートする
  2. 「顧客の悩み × 競合が満たせない部分」を質問型話法で引き出し、自社の強みをぶつける
  3. スペック競争から脱却し、製品を通じて医師にどのような「お役立ち」ができるかに集中する

 

3C分析は、机の上の難しい勉強ではありません。

市場のどこに立ち、誰と戦い、誰に価値を届けるのかという

「戦う構図」をシンプルに明らかにするツールです。

 

あなたがチームを導く上司やマネージャーの立場であるならば、

メンバーに対面訪問の「回数」ばかりを求めるのを止め、

ぜひ特定の医師や施設をテーマにした

「3C分析ワーク」を研修などで取り入れてみてください。

 

MR自らが

「この先生の課題に対し、自社にしかできない価値は何か」

を戦略的に考え、自律的に動くプロフェッショナルへと

劇的に変貌を遂げるきっかけになるはずです。

 

コンプライアンスの枠組みを完璧に味方につけながら、

医師から

「あなただからこそ、治療の相談をしたい」

と絶対的な信頼を寄せられるための

具体的なトークストーリーの設計法や、

3C分析を実践に落とし込む

質問型コミュニケーションについて、

さらに私と一緒に深い学びを始めてみませんか?

 

プロフィール

杉浦敏夫(すぎうら・としお)

1965年、長野市生まれ。名古屋大学工学部卒業後、国内の製薬会社に入社。

プロダクトマネージャーとして大型新薬の上市を手がけた後、学術部、プロダクトマーケティング部、臨床開発部、教育研修部の部長、営業部門では東京支店長などを歴任する。

日本人を対象としたエビデンス構築の必要性に着目し、多くの臨床試験の企画・運営を主導。そのうち代表的な2つの研究の結果は、国際的に権威のある医学専門誌に掲載され、国内の診療ガイドラインにも引用されている。

数多くのトップ・オピニオン・リーダーとの対話を通じて「質問の力」の本質に触れ、営業力強化の分野で著名な「質問型営業®」開発者・青木毅氏に師事。

現在は、第一線で活躍する営業職やマネージャーを支援する取り組みに注力している。趣味はカメラ、ソフトボール、ゴルフ、温泉旅行。

人気PodCast番組『青木毅の質問型営業』に著者として出演(第540回, 2025年9月19日配信)。

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