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【説明しない勇気71】画面越しだと医師の反応が読めない。WEB面談で本音を引き出せない理由と、成果を最大化する「リアルとWEB」使い分けの交渉術

画面越しに生じる見えない距離感――WEB面談で手応えが得られない理由

製薬業界で活躍するMRやMSLの皆さん、

そしてチームの戦略立案やメンバー育成に携わる

マネージャーの皆さん。

 

ここ数年で完全に定着した

「WEB面談」の現場において、

このようなもどかしさを感じたことはないでしょうか。

 

「対面なら盛り上がるはずの話題なのに、

 画面越しだと驚くほど反応が冷ややかだった」 

 

「資料を提示しながらディテーリング(情報提供)をしたけれど、

 先生がどこに納得して、どこに懸念を抱いているのか、

 いまひとつ温度感が掴めない」 

 

「熱心に説明したつもりなのに、最後は『検討しておきます』

 とだけ言われて画面を切られてしまった」

 

最近では、WEB面談だけでしか

医師と接点を持ったことがないという

若いMSLも増えています。

 

時間や場所に縛られず、

多忙なドクターとスピーディーに繋がれるWEB面談は、

極めて有効なコミュニケーションの選択肢です。

 

しかし、私自身も数多くの医師と

オンラインでの交渉やディテーリングを重ねてきましたが、

対面訪問のときのような

「腹を割った本音」

を引き出すのは想像以上に難しいと感じてきました。 

 

もし、あなたがWEB面談を

「対面訪問の単なる代替手段」

として同じ感覚のまま進めているとしたら、

知らず知らずのうちに医師との間に

埋められない距離感を

作ってしまっているかもしれません。



「五感の欠如」と「見えない壁」――オンラインに潜む心理的バイアス

WEB面談で医師の本音が引き出しにくくなるのには、

明確な構造的・心理学的な理由が存在します。

この特性を正しく理解することこそが、

オンライン時代の交渉術の出発点となります。

1.非言語情報(ノンバーバル)の圧倒的な不足

対面での面会では、

私たちは無意識のうちに多くの情報を

五感で受け取っています。

 

声のトーン、目線の細かな動き、姿勢の傾き、

 

その場の空気感や雰囲気といった

「非言語情報」が、

実は対話の文脈を支えているのです。 

 

しかし、WEB面談ではカメラに映る

限定的な視覚情報と、

圧縮された音声だけが頼りになります。

 

情報量が圧倒的に少ないため、

お互いに相手の意図を正確に読み解くのが難しくなり、

これが

「相手の反応が読みづらい」

というストレスを生み出します。


2.「壁に耳あり」という不確実性がもたらす心理的抑制

WEB面談における

最大のブラインドスポット(盲点)は、

お互いに「相手の画面の外側」が見えない

という点です。

 

「本当に一対一で話しているのだろうか」

「背後で誰かが会話を聴いているのではないか」

 

という不確実性が、

無意識のうちに相手との間に

見えない心理的な壁を作ります。 

 

医療の最前線に立つ医師は、

自身の専門性や院内のパワーバランスに対して

非常に繊細です。

 

「誰が聴いているかわからない」環境下では、

不用意な発言を避け、本音を控える傾向が強くなります。

 

たとえば、

「未公開の院内方針に関わるデリケートな内容」や

「上司と異なる見解」

「センシティブな治験や症例に関する本音」

などは、WEB面談では極めて敬遠されやすくなるのです。


3.自然発生的なアイスブレイクの消失

対面訪問であれば、

医局の廊下でのすれ違いや、

着席するまでのわずかな間に、

自然な雑談やアイスブレイクが発生します。

 

しかしWEB面談は、

リンクをクリックした瞬間に

「本題」の対話がスタートしがちです。

 

意図的に会話を設計しなければ、

形式的な「製品説明のトーク」だけで終わってしまい、

医師の懐に潜り込むような

ディープなコミュニケーションは望めません。



 

メディアの特徴を逆手に取る、明日からの「ハイブリッド交渉術」

WEB面談の特性を正しく理解できれば、

実務における戦略的な使い分け(メディア・セレクション)

が可能になります。

 

「仕方なくWEBを使う」という受動的な姿勢を捨て、

目的に応じてこちらから積極的に選択していく

思考のフレームワークを提示します。

 

時間の使い方と目的を明確にし、

WEBの「同席や記録が容易である(研修や振り返りに活かせる)」

という教育的メリットを享受しつつ、

対面の「熱量と信頼感」を組み合わせるハイブリッドな設計こそが、

現代のMR・MSLに求められるトークスキルであり、

戦略的営業の真髄です。



画面を閉じた後、本当の信頼関係の構築が始まる

WEB面談は、決して対面訪問の劣化版ではありません。

しかし、その限界と特性を無視したまま、

従来の営業スタイルを押し付けても

成果は上がらないのです。

 

1)WEB面談は「非言語情報」が圧倒的に不足し、

距離感が生まれやすい特性を知る

 

2)「誰が聴いているかわからない」心理的抑制が働くため、

センシティブな話題は対面を選ぶ

 

3)日常の効率的な情報共有はWEB、

勝負どころの合意形成は対面という

「ハイブリッド戦略」を貫く

 

WEBという手段を主体的にコントロールし、

時代に即した面談スキルを磨くことで、

医師との信頼関係は一層強固なものになります。

 

「画面越しでは本音が引き出せない」

と嘆くのを止め、

まずは明日からのアポイントの目的を

再整理してみてください。

 

「この話は、本当に画面越しですべき内容か? それとも直接会いに行くべきか?」

 

その一歩引いた視点こそが、

あなたのディテーリングの価値を

飛躍的に高めてくれるはずです。

 

オンラインとリアルの融合によって

医師のパートナーシップを勝ち取る、

具体的な「質問型のWEBトーク設計」や

「オンラインでのアイスブレイク法」について、

さらに詳しく学んでいきましょう。

プロフィール

杉浦敏夫(すぎうら・としお)

1965年、長野市生まれ。名古屋大学工学部卒業後、国内の製薬会社に入社。

プロダクトマネージャーとして大型新薬の上市を手がけた後、学術部、プロダクトマーケティング部、臨床開発部、教育研修部の部長、営業部門では東京支店長などを歴任する。

日本人を対象としたエビデンス構築の必要性に着目し、多くの臨床試験の企画・運営を主導。そのうち代表的な2つの研究の結果は、国際的に権威のある医学専門誌に掲載され、国内の診療ガイドラインにも引用されている。

数多くのトップ・オピニオン・リーダーとの対話を通じて「質問の力」の本質に触れ、営業力強化の分野で著名な「質問型営業®」開発者・青木毅氏に師事。

現在は、第一線で活躍する営業職やマネージャーを支援する取り組みに注力している。趣味はカメラ、ソフトボール、ゴルフ、温泉旅行。

人気PodCast番組『青木毅の質問型営業』に著者として出演(第540回, 2025年9月19日配信)。

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