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【説明しない勇気107】医師からの反論で言葉に詰まっていませんか?ピンチをチャンスに変える「質問型」の深掘りと魔法の接続詞

予期せぬ反論に頭が真っ白になり、焦って説明を被せてしまう現実

製薬業界の最前線で活動する

MRやMSLの皆さん、

そしてチームのディテーリングスキルの

向上に取り組むマネージャーの皆さん。

多忙な医師との面談において、

次のような冷や汗をかく場面に

遭遇したことはないでしょうか。

 

「君の言うデータは綺麗だけど、

うちの高齢患者にはリスクが高くて使えないよ」 

 

「この臨床試験、そもそも設定に

無理があるんじゃない?」

 

こうした鋭い反論を浴びた瞬間、

頭が真っ白になり、

「いえ先生、そのようなことはなく……」

と慌てて自社の正当性を主張したり、

別のスライドを提示して

必死に説得しようとしたりして

いないでしょうか。

あるいは、空気を悪くしないために

「そうですよね……検討しておいてください」

と逃げるように話を終わらせてしまった

経験がある方も多いはずです。

 

私自身、製薬会社の現場にいた頃、

オピニオンリーダーからの厳しいツッコミに対し、

反射的に

「でも」「しかし」と言い返してしまい、

相手を不機嫌にさせてしまった

苦い過去があります。

しかし、数多くの現場を見てきた今、

断言できることがあります。

反論に対して「説明し直す」のは下策であり、

「逃げる」のは愚策です。

反論とは、医師の深いニーズを引き出し、

対話の主導権を握るための最大のチャンスなのです。

 

今回は、反論を味方につけるための

「質問型フレームワーク」と、

言葉に詰まった時にあなたを救う

「接続表現の技術」について解説します。




「好意・質問・共感」で反論の奥にある“本当の課題”を探る

医師からの反論は、表面上の言葉とは裏腹に、

その根底に本質的なニーズや臨床上の不安、

あるいは「自分の経験を認めてほしい」

という承認欲求が隠れていることが

ほとんどです。

この“見えない理由”を明らかにするためには、

焦って切り返すのではなく、

「聞き切る」姿勢と

「質問型のフレームワーク」が不可欠です。

 

反論を受けた際は、

まず相手に敬意を示す「好意」の態度を崩さず、

段階的な「質問」によって思考を深掘りし、

徹底的な

「共感(トリプル共感:感心・感動・感激)」

で受け止めるというプロセスを踏みます。

 

具体的には、以下の5つの視点に沿って

問いかけを重ねることで、

医師の真意を鮮やかに

浮き彫りにすることができます。

 

  • 【現状】 

「先生、現状はどのような感じでしょうか?」

 

  • 【欲求】 

「なるほど。ではその現状を

どのようにしていきたいとお考えでしょうか?」

 

  • 【解決策】

 「では、それを解決するために

具体的に取り組まれていることはありますか?」

 

  • 【欲求の再確認】 

「それで解決できそうですか?

今のままで大丈夫そうですか?」

 

  • 【提案】 

「実は、それを解決できそうなご提案があるのですが

……お話だけでもお聞きになりますか?」

 

このように、反論を「否定」として捉えるのではなく、

「先生が本当に知りたいことは何なのか?」

を探るための知的な対話の入り口(サイン)

として扱うのです。

質問とは、相手の立場に敬意を示し、

共に解決策を探るための最高のツールです。




「でも」「しかし」を封印せよ!対立を防ぐ接続表現の技術

質問型で深掘りする重要性は理解できても、

「とっさに気の利いた言葉が出てこない」

と悩む担当者は多いものです。

特に医師のような論理的思考と経験を併せ持つ

ハイレベルな顧客を前にすると、

心理的な重圧から言葉に詰まりやすくなります。

 

この「言葉に詰まる瞬間」を乗り越え、

相手を不快にさせずに自分の主張へと

スムーズに移行するために、

絶対に身につけるべき技術が

「受け答えの接続表現」です。

 

まず、医師から反論を受けた瞬間に、

絶対に使ってはいけない接続詞があります。

それが「でも」「しかし」「お言葉ですが」です。

これらは、無意識のうちに相手を否定し、

対立構造(論破のし合い)を

生み出してしまいます。

 

いわゆる昭和の説得型営業で使われていた

「YES・BUT話法(はい、しかし……)」は、

プライドの高い医師に対しては

「自分が否定された」

と感じさせるため、逆効果にしかなりません。

 

そこで、反論を受けた際の一言目は、

必ず「確かに」で受け止めます。

「確かに、先生がそのようにお考えになるのはごもっともです」

と、相手の“立場や感情”を一度完全に受け入れるのです。

その上で、次の2つの話法(接続表現)を使って、

自然に自分の土俵へと移行させます。

 

1. 「確かに & ではもし」話法

「確かに先生のおっしゃる通り、

その副作用リスクは看過できません。

……ではもし、そのリスクを事前に予測できる

バイオマーカーのデータがあれば、

先生のご不安は少し和らぐでしょうか?」 

 

相手の考えを一切否定せず、

「新しい視点や仮定」を提示することで、

建設的な議論へと主導権を握る方法です。

 

2. 「確かに & 実は」話法

「確かに、既存薬でも十分にコントロール

できているとお感じになるのはごもっともです。

……実は、長期的な予後に関して

患者さんに有益で非常に興味深いデータが

先日の学会で発表されたのですが、

先生はご存じでしたか?」 

 

相手に深く共感(寄り添い)した上で、

自分の切り札(情報)を切り出す方法です。

 

論理的思考を好む医師に響きやすく、

対立を和らげつつこちらの主張を

明確にする絶大な効果があります。



巧妙な“つなぎ”が、あなたを信頼される共創者へと引き上げる

反論を受けたとき、最も避けるべきは

「対立構造(論破)」に陥ることです。

その場を切り抜けるためには、

論破ではなく「調和」を目指す発想が

重要です。

 

  1. 反論を恐れて焦って説明するのではなく、「質問」を使って背景にある真意(ニーズ)を深掘りする。
  2. 「でも」「しかし」のYES・BUT話法を封印し、対立構造を避ける。
  3. 「確かに」で相手の感情を受け止め、「ではもし」「実は」という接続表現で自然に提案へと繋げる。

 

反論は多くの場合、

相手が自分の患者や臨床経験を守ろうとする

自然な反応です。

その背景にある不安を理解しようと努め、

言葉の橋(接続表現)を架けられる担当者だけが、

医師から

「この人は自分の立場を分かってくれている」

と深い信頼を獲得できるのです。

 

優れたディテーリング活動や交渉は、

巧妙な質問と同様に、

巧妙な“つなぎ”によって成り立っています。

 

明日からの訪問やWEB面談で、

もし予想外の厳しい言葉が飛んできたら、

焦らず笑顔で

「確かに、おっしゃる通りです」

と受け止めてみてください。

そこから

「ではもし」

「実は」

を使って会話を展開するだけで、

反論が「対話の起点」へと魔法のように

変わる瞬間を体験できるはずです。

 

医師の心の壁を溶かす具体的な

「質問型トークスクリプトの作成法」や、

どんな反論にも動じない

接続表現のロールプレイングなど、

チームの現場力を底上げする実践的な方法について、

さらに私と一緒に深い学びを始めてみませんか?

 

プロフィール

杉浦敏夫(すぎうら・としお)

1965年、長野市生まれ。名古屋大学工学部卒業後、国内の製薬会社に入社。

プロダクトマネージャーとして大型新薬の上市を手がけた後、学術部、プロダクトマーケティング部、臨床開発部、教育研修部の部長、営業部門では東京支店長などを歴任する。

日本人を対象としたエビデンス構築の必要性に着目し、多くの臨床試験の企画・運営を主導。そのうち代表的な2つの研究の結果は、国際的に権威のある医学専門誌に掲載され、国内の診療ガイドラインにも引用されている。

数多くのトップ・オピニオン・リーダーとの対話を通じて「質問の力」の本質に触れ、営業力強化の分野で著名な「質問型営業®」開発者・青木毅氏に師事。

現在は、第一線で活躍する営業職やマネージャーを支援する取り組みに注力している。趣味はカメラ、ソフトボール、ゴルフ、温泉旅行。

人気PodCast番組『青木毅の質問型営業』に著者として出演(第540回, 2025年9月19日配信)。

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